赤ちゃんも快適!きれいな空気を循環させる全館空調システムの仕組みとは?
家を建てるにあたって全館空調を検討しる方が近年増えています。ここでは、全館空調について「快適そう」「かなり費用がかかりそう」など、なんとなくのイメージは持っていても詳しくは知らないという方、全館空調について知りたいという方に役立つ、全館空調の仕組み、メリット・デメリットなどをご紹介します。
全館空調って何?全館空調システムの仕組みとは
全館空調では熱交換気ユニットを使って外気の取入れと住居内気排出を行っています。取り入れた外気はフィルターユニットを通すことで花粉やPM2.5などの粉塵が取り除かれます。全館空調の家には「空調室」があります。そして、空調室に設置したルームエアコン1台で全室の温度・湿度をコントロールします。
外から取り込まれた空気はフィルターユニットを通ったあと空調室内に入り、ルームエアコンでちょうどいい温度に調整された後ダクトやエアチャンバーから送風ファンで各室に送られます。運ばれた空気は各居室の天井などに設置された給気口から室内に入り、室内を循環したのち排気口から排気されます。このように家の中の空気を循環させることで、全館空調の家ではトイレや洗面所、廊下、浴室なども居室と同じ温度・湿度を保つことができます。
一年中快適?全館空調システムのメリット
全館空調には多くのメリットがあります。まず、冬場にリビングは温かいけれど廊下は寒い、お風呂が寒い、といったことはなくなり快適に過ごすことができます。家の中の急激な温度差はヒートショックの原因にもなります。夏場は熱中症のリスクを減らすこともできます。とくに高齢者や子どもがいる家庭では、家中の温度が一定の全館空調は快適なことはもちろん家庭内での事故が起こりにくくなるという点で注目されています。
外気を取り込む際、空気中に含まれたアレルギーの原因物質を除去できる点も大きなメリットです。健康に対する意識の高い家庭ではこれらのメリットから全館空調を選ぶ方も多いです。全館空調は前述のとおり使用するエアコンは空調室の1台のみなので室内の壁かけエアコンがなくなりスッキリします。インテリアにこだわりたい方や、できるだけ室内をすっきりさせたいという方は全館空調がおすすめです。
コストがかかる?全館空調システムのデメリット
家族の健康によくて快適、室内がすっきりしておしゃれな家にできる全館空調ですが、デメリットもあります。まず、全館空調を採用するには家が高気密・高断熱の住宅である必要があります。気密性・断熱性が低い家では、なかなか家全体を温めたり冷やしたりできず快適ではないうえに電気代ばかりかかる家になってしまいます。
また、全館空調は「家全体を快適な温度に保つ」というもので、一般的なルームエアコンの「暑い部屋を冷やす」「寒い部屋を暖める」とうものとは異なります。全館空調はルームエアコンのように短時間で一部を温かくしたり、涼しくしたりすることはできません。また、全館空調の家は冬場外から取り入れた乾燥した空気が室内を循環するため乾燥しやすくなります。冬場は加湿器を併用するなどして、湿度をコントロールする必要があります。
費用面では、導入の初期費用や運用コストなど全館空調を導入していない家よりはやはり高額になります。最近は電気代の値上がりも続いているため、全館空調にかかるランニングコストが家計的に問題ないか家族で相談したうえで慎重に決めましょう。
全館空調システムの導入時に検討すべきポイントは?
全館空調を導入する際、まず検討する項目として導入コストがあります。一般的なエアコンは1台あたり5万円前後からありますが、全館空調は安いものでも1台100万円程度がかかります。「全館空調は高い」というイメージはここからくるものでしょう。
ただ、リビングと寝室、客室、子ども部屋など各居室にエアコンを設置するコストと比較すればそれほど大きなコスト差にならないという考え方もできるうえ、空気清浄機、床暖房、扇風機、ヒーターといったそのほかの家電を買う必要もなくなります。また、全館空調は設備として新築時に導入すれば住宅ローンに組み込むことも可能です。全館空調は故障すると、室内すべての空調がとまってしまいます。そのためメンテナンスのフォロー体制は必ず確認するべきポイントになります。定期点検の頻度や保証なども比較検討項目として覚えておいてください。
全館空調にも種類があり、特定のハウスメーカーでしか導入できないものもあります。先にハウスメーカーや工務店を決めている場合、いいと思った全館空調は導入できないケースもあります。全館空調を検討しているのであれば、建築会社選びの時点からそのことを相談しておくとよいでしょう。
まとめ
全館空調は快適で健康な暮らしを叶えることのできる設備です。居室内の見た目もすっきりとまとめることができるうえ、コスト面を許容できるのであればぜひ検討してみてほしい設備です。もちろん、高額なシステム導入には慎重になるべきです。導入にあたってデメリットも認識したうえで選ぶことで「こんなはずじゃなかった」をなくすことができます。こちらで紹介した内容も参考にしながら、全館空調の採用について考えてみてください。