新築の注文住宅でスキップフロアを取り入れるメリット・デメリットとは?
「スキップフロア」という言葉をご存じですか?床の一部を各階の中間の高さに設置し、フロアや収納スペースなどをつくるデザインのことです。限られた空間を効果的に活用したい人や、ユニークな空間を演出したい方から人気を集めています。本記事では、そんなスキップフロアのメリット・デメリットをわかりやすくご紹介します。
そもそもスキップフロアとは?
スキップフロアとは、1.5階や2.5階のように各階の中間に設置された空間やスペースのことです。小上がりと呼ばれることもあります。床の一部に高低差を設けることで、立体的でインパクトのある空間が実現できます。一般的な建売住宅でスキップフロアを設けているものは少なく、自由設計が魅力の注文住宅こそのユニークな設計として注目されています。
また、空間を縦に活用したデザインであるため、狭小地や傾斜地などの土地を活用したい場合や、高さや容積率に制限がある場合などにスキップフロアを取り入れることもありますよ。
新築の注文住宅でスキップフロアを取り入れるメリット
建売住宅では見ることの少ないスキップフロア。間取りを自由に設計できる注文住宅だからこそ実現できるデザインのひとつでしょう。ここからはそんなスキップフロアのメリットを3点ご紹介します。
床面積を効率的に確保できる
日本の住宅は建築基準法によって敷地面積あたりの延床面積の割合である容積率や高さなどが制限されています。しかし、スキップフロアを効果的に採用することで、それらの制限の規定を守りながら、床面積を効率的に確保することが可能です。
たとえば、建築基準法では地下室やスキップフロアなどを対象に容積率を緩和する面積不算入の規定が設けられています。この面積不算入の規定を満たすようにスキップフロアが設置すれば、もともと定められていた床の面積以上のスペースを設けられるようになるのです。
同時に、スキップフロアに面積不算入の規定が適用できれば、固定資産税を抑えられるというメリットもあります。なぜなら、固定資産税は延床面積から算出されますが、面積不算入の規定を満たすスキップフロアがあれば、固定資産税を求める計算で使われる延床面積が実際に使用している床面積よりも小さくなるためです。
もうひとつ例を挙げるとすると、たとえば、家を建てる敷地が傾斜地である場合、高さ制限や斜線制限などで住宅の高さが制限されますが、スキップフロアを採用すれば、高さ制限の規定を満たした上で床面積を最大限に確保できます。スキップフロアを地下室と組み合わせて設置すれば、費用のかかりがちな地下室の面積を半フロア分などに抑えられ、その結果、コストも抑えつつ、床面積も十分に確保された居住空間を実現可能になるのです。このようにスキップフロアを用いて空間を縦に活用することで実質的な床面積を増やせます。
明るく開放的な景観を演出できる
スキップフロアによって段差で空間を仕切ると、壁や扉で仕切るときよりも空間全体に光が通りやすくなります。さらに、各階の中間に設置されたスペースのおかげで、視線や動線が縦につながり、立体的でメリハリのある景観を演出できるのです。
さらに光を家に取り込みたい人には、スキップフロアにあわせて吹き抜けを採用することをおすすめします。スキップフロアと吹き抜けの相乗効果でより明るくおしゃれな空間を実現できるでしょう。
収納が増やせる
スキップフロアの床下部分や、スキップフロアにつながる階段部分に収納スペースを設けられます。開放感がありつつ、収納もしっかりできるスキップフロアは、空間を有効活用したい人におすすめでしょう。
新築の注文住宅でスキップフロアを取り入れるデメリット
魅力の多いスキップフロアですが、デメリットも存在します。ここからはスキップフロアのデメリットを、設計時に注意すべきポイントと合わせてお伝えします。
間取りによっては地震に弱い
スキップフロアを取り入れた住宅は間取りによっては地震に弱い傾向があります。設計時に耐震性を確保するための計算をおこなったり、耐力壁を施工したりするなどの工夫が必要でしょう。耐震性が十分に確保された住宅を建てるには、スキップフロアのある住宅を建ててきた実績のある建築会社を選ぶことをおすすめします。
室温や湿度の調節が難しい
スキップフロアのある部屋は壁や扉で区切られていない分、ほかの部屋と比べて広い空間になりがちです。そのため、室温や湿度の調節に悩むケースが見られます。こんなトラブルで悩まないためにも、スキップフロアを採用するのなら気密性・断熱性が高い空間となるよう建材を選択しましょう。また、空気が室内をうまく循環するようにシーリングファンやサーキュレータなどの空調設備を採用するのもおすすめです。
建築費用がかかる
スキップフロアを実現するには、設計費・工事費・建材の費用などが追加で必要です。また、スキップフロアのある建物は地震に弱い構造になりやすいので、耐震性を確保するための構造計算も必要で、これにはだいたい30~50万円かかります。ただし、スキップフロアを取り入れるメリットは大きいため、高い費用対効果を実現できる可能性はあるでしょう。
まとめ
スキップフロアは、狭小地などの土地を活用したい場合や、高さや容積率に制限がある場合などに採用されることが多いです。スキップフロアのメリットには床面積を効率的に確保できること、明るく開放的な景観を演出できること、収納が増やせることなどが挙げられます。一方で、間取りによっては地震に弱い、室温や湿度の調節が難しい、建築費用がかかることがデメリットとして挙げられます。しっかりとメリットとデメリットを理解し、導入する場合は実績のある設計会社・建築会社に依頼すると安心です。